2025

マンボウの唄

暗い海のどこか 静かに漂う 
古傷が少し疼く 光の方へ向う
微かな暖かさが 体に染み渡る 
何かが足りない気がして そうか 僕の頭だ

流れに逆らって 波の壁が押し寄せる
視界が歪んで このまま 沈む? 消えゆく?

笑われる背中に 取り憑く視線たち 
回る世界の片隅に 置いてかれる

深く潜る闇に 温もりは届かず 
ゆっくり進む道には ほんの少しだけ
光があって 重さを受け止めて 
流されるだけの勇気で 手を伸ばして

見下したその目の先には 僕の妬み嫉み 
孤独さに囚われて 朝日に急かされ

流れに逆らって 波の壁を強く穿て 世界の果てまで 
ただ流離って 溺れて この傷みを感じて

歪んだ月の光に 燃え尽くされて 
数えきれないほどの罪を抱えて ここにて
救いようがないのに 足掻きたくなるさ 
鋭く研いだナイフで 突き刺した黒

僕の歌を思い出す度 口ずさむ
枯れた声 波に連れてく 潮風の味がして

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