2025
紙の夢
誰かの声が聞こえる
耳を塞いだはずなのに
透明の心でさえ掴めない 音の形
瓦礫の下で眠れば
ひどく凍てついた破片と
夜明けに散りゆく星屑 雨が降れば
地球の裏側 朝がやって来る
右往左往 騒めき出す
そして 道すがらの空
されど もがき苦しむ僕ら
躊躇う度に 夢見るのかな
青白い音色
誰かがくれた温もり
ただ自分を押し殺した
褪めない桔梗色に染まる 薄曇りの空
工事現場の蛍光灯 燃え尽きた蠟燭
すれ違う 灰になる
なのに 行方不明の反響
ずっと 醜いままの僕ら
あの日のメロディー 奏でた真夜中
聞きたくなくならないな
だから 宇宙の塵のような
僕らは 幾星霜の中を
無くしたものに 縋るのかな
水風船の鼓動響いて
錆びついたなら 錆びついたまま
線路沿いの花びら