浮き輪 

夢は遥か遠くへと旅をする
川に沿って下っていく 折り紙の船 
僕は小さな浮き輪を掴んでいる 
強く握りしめて 震えが止まらない 

波が打ち上げた石を 手のひらに載せて
埃を拭い去れば 輝くこともないな  

いつしかあの場所へ向かう日に
時計の針がそっと囁く
僕は今も戸惑っているよ
頷きたくはないけど

雨の日には日差しを 夜道には星明りを
変わりない日々には微笑むものか 

さすらうそよ風には 行く末に咲き誇る花を
色褪せた校舎の壁には ウレタンの匂いがする言葉を
躊躇う踊り手には 幼い青さとあけぼのを
君のような人には 約束を 約束を  

在りし日の亡霊と背中合わせ
夕立の傍らに吹き曝しで
僕はずっとあの日のままで
看取る微かなともし火

浮き輪は次第に萎んでいく 
僕は必死にもがく
絶望も後悔も消えうせて

春はすぐそばまでに来てくれたのは
雲を抜け飛べたら 君とふたりで
僕は軽やかにギターを持って
不器用に弾き語る ララ ララ ララ

Previous
Previous

光は流れに逆らうものだから。

Next
Next

海に魚を泳がせない